2025/09/26
【2025年10月以降引き上げ!】最低賃金引き上げと介護職の待遇改善は進むのか?
最低賃金引き上げと介護職の待遇改善は進むのか?
最低賃金引き上げの現状と介護業界への影響
2025年度の全国加重平均最低賃金は、改定前の1,055円から66円引き上げられ、1,121円となります。これは、1978年度に目安制度が始まって以降、最大の引き上げ幅となります。
答申された最低賃金額は、関係労使からの異議申出手続きを経た後、2025年10月1日から2026年3月31日までの間に順次発効される予定です。
2025年度の改定により、史上初めて全都道府県の最低賃金が1,000円を超えることになります。
しかし、介護業界は公定価格という枠組みに縛られており、自由にサービス価格に転嫁することができません。このため、最低賃金が上昇しても、事業所の収益がそれに伴って増加するわけではないのが実情です。結果として、人件費の増加が経営を圧迫し、専門職の賃上げが頭打ちになる可能性があります。
処遇改善加算制度の役割と限界
介護職員の処遇改善を目的とした加算制度は導入されており、手当や賞与を含めた平均月給は増加傾向にあります。
しかし、この制度は加算を取得している事業所に限られており、制度を活用していない事業所は調査対象外となるため、介護業界全体の底上げには至っていません。
また、他産業との賃金格差も拡大傾向にあります。
厚生労働省のデータによると、2023年の全産業平均賃金と介護職員の平均賃金の差は月8.3万円に達しており、前年よりも開いています。
これは、他産業で賃上げが進む一方で、介護分野の処遇改善が相対的に追いついていない現状を示しています。
介護職の待遇改善に向けた課題と展望
介護職の待遇改善を進めるためには、最低賃金の引き上げに対応しつつ、事業者の経営を圧迫しない新たな処遇改善策や介護報酬の大幅な引き上げが求められています。
介護職の処遇改善は、介護サービスの質の維持・向上、そして持続可能な介護体制の構築に不可欠です。
最低賃金の引き上げを単なるコスト増と捉えるのではなく、介護人材の確保と定着、ひいては社会全体の福祉向上に繋がる投資として、制度的な改革と事業者の努力が求められています。
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介護職の処遇改善は、個人の生活の安定だけでなく、高齢化社会を支える基盤そのものです。
最低賃金の引き上げという追い風を最大限に活かし、介護職が専門職としての誇りを持ち、安心して働き続けられる環境を整備することが、私たち社会全体の責務と言えるでしょう。
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